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    半年だけの滞在のつもりが、4年間もロンドンに住んでいました。ロンドンでの生活、ヨーロッパ旅行を中心にお届けします。


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2008/09/10(Wed)

【パース編】非常識な日本人

人は認めたくない現実にぶつかったとき、一瞬ではあるが現実逃避を試みるのだと思う。


私の場合はぎゅっと目をつぶった後、見開くことにしている。
これは「夢であればいい」と願いながら目をつぶり、
見開くことで「夢から覚めればいい」と願っている。
もちろんこの方法で認めたくない現実が夢だったことは一度として無い。

何度も目をパチパチしている私を見た運転手は怪訝な顔をしながら「降りないのか?」と聞いてくる。
こんな何もないところで降ろされたらたまったもんじゃない!
「私はフリーマントルに行きたいんだ! こんなところでは降りたくない。何とかしてくれ!」
勝手に乗り間違えておいて、この逆ギレっぷり。
運転手も先ほどまで目をしばたいていた日本人が突然キレ出して、
どうしていいか分からず様子だ。……彼の困惑もごもっともである。
彼としては経路を間違えることなく乗客を送り届けるという仕事を
しっかりとこなしているだけなのに、何故怒られなければならないのか。

でも、ここで降ろされたら、この先に待っているのは「死」だと考えを飛躍しまくっていたので、
私としても引き下がるわけにいかない。何としてでもフリーマントルに行かねばならないのだ。
「私は間違いをおかしてしまったんです。お願いです。助けてください。あなたを信じています」
逆ギレがまったく通じなかったので、弱々しくすがってみた。
それでも彼は困り顔である。
もごもご独り言を繰り返しながら、彼のシンボルとも言える口ひげを触る。
「……助けてください」
消え入りそうな声でお願いしたこの一言が、彼に通じたようだ。

彼は私の顔を見て大きくうなずくと、無線機でなにやら喋りだした。
それからまた私のほうを見てにっこり笑うと「何も心配はいらない」と言い、
再びバスを走り出させたのだ。
「サンキュー! アイムベリーハッピー」
命の危機(大げさ)から救ってくれたという感謝の気持ちを現すには不十分だが、
これしか知らない私は言葉を覚えたばかりのオウムのように、
何度も何度も言い続けたのであった。

【パースでも自虐ネタ】
何分か走り続けた後、運転手は突然バスを停止させた。
あまりに突然だったので、椅子から転げ落ちそうになるのを何とかこらえる。
何事かと思って運転手のほうを見ると、彼はしきりに前方を指差す。
その指し示されたほうを見ると、一台のバスが停まっていた。
そして、そのバスの行き先は「フリーマントル」!!!!!!
今度は「フリーマントル もじゃもじゃもじゃ」と別の単語がついていない!
同じフリーマントルでも、私の目指すべきフリーマントルに行くバスだったのだ!!!

彼としては経路を逸脱しすぎるのはまずい。
だけど、このみすぼらしく、哀れな日本人を救いたい。
だったらフリーマントルに行くバスが通る場所まで連れて行こう。
想像でしかないが、おおよそこんなところだと思う。何と優しい人だ!

「サンキュー!!!」
陳腐すぎる感謝の言葉を何度も何度も彼に伝え、
私の合流を待ちかねているバスまで駆け寄った。
あんまりに慌てすぎたのか、途中で足が自らの足に絡まり転んでしまった。
(運動できない人の典型的な転び方。自分で自分を転ばせるという高等技術だ)
恥ずかしくて運転手のチラリと見ると、彼は大笑いをしていた。それほど滑稽だったのだろうか。
オーストラリアでも体を張って笑いを取るとは思わなかったが、
少しでも楽しい気持ちになってくれたら幸いだ。

なおも笑い続ける彼にぶんぶん手を振った後、停車中のバスに乗り込む。
この運転手もにこにこ笑っている、乗客を見てもにこにこ笑っている。
日本だったら人を待つために何分も停車するなんてことは考えられない。
もしかしたら日曜日で乗客が少なかったから待っていてくれたのかもしれないが、
それでも私は人の優しさというものに触れ、いたく感動してしまったのである。


ちなみに……
私のそばに座ったおばあちゃんがニコニコ微笑みながら、チョコレートを2つくれた。
全速力で走り、息があがっている私を気の毒に思っての行動かもしれない。
それは本当に嬉しい。本当にありがたい。本当に感動してしまう。
が、私は外国のチョコレートやスイーツが何よりも苦手なのだ。

でもね、もらっておいて食べないわけにいかないでしょ?
おばあちゃんはニコニコ微笑んで、なおも私の顔を見ているわけだし。
だから勇気を振り絞ってチョコレートを口に入れてみた。
……思った通り、やけつくように甘い。中にはどろりとした液状の
これまた舌がしびれるほど甘いものが入っている。

「サ、サ、サンキュ~…。イッツベリーデリシャス」

……外国でもお世辞って必要だ。



※今回、私は運転手に懇願することで危機(そうでもない)を脱したましたが、
今思えば、何とも軽率な行動だったと反省しております。
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